
往復書簡:梶原 道生
復路1-2 20120614
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鳩サブレーの、ゆるがず、こびないかわいらしさは、長い間愛してくださるお客さまへの感謝の気持ちと、人に渡すときには相手に喜んでほしいという期待に応えているのだと思います。単純に見えるロゴタイプとキャラクターの中には、愛されるべき仕掛けがたくさん施されています。
かっちりとしているけれど味があるロゴタイプは、書体の端の欠けて見える部分がサブレーをかじることを連想させ、サブレーとの一体感を産み出しています。ロゴタイプと目の色が同じ赤色であることも、同じく一体感を感じさせるポイントです。「サブレ」を「サブレー」と伸ばすことで、フレーフレーと応援するような、言葉の語尾が遠くに飛んでいくような響きがあります。
黄色い背景は、たまごの黄味かバターの色でしょう。幼稚園児の帽子や鞄にもよく採用される色で、暖かさを感じさせ、尚かつ目立ちます。サブレーが美味しく見える清潔感のある白の小分けの袋は、お尻がずれないように留めてある部分に気づくと、また、かわいいと思いますね。
キャラクターの鳩の縁の黒い線が太く、白地とのバランスもとれて品があります。極めてシンプルだれれども、こどもっぽくはない。妊婦の母をイメージさせるようなやさしさが醸し出されています。卵のような楕円に頭がついただけの、つい食べたくなってしまう形のサブレーには、頭から食べるか、しっぽから食べるか、そんな楽しみもありますね。
商品がひとつであるだけに、消費者を飽きさせない工夫として、物語と商品の間におまけグッズは入っていることがあります。お客様と鳩サブレーの距離がぐっと近くなり、親しくなれる。サブレーは食べたらなくなってしまうけれど、いつまでも側にいてくれる存在として、八幡宮のお守りの替わりになっているのかもしれません。そんな無駄のないキャラクターの活かし方も素敵です。
キーワードは「かわいい」でしょうか。いわゆるチープな「かわいい」ではありません。出しゃばらずにお客様のことを思う、日本人のさりげなく繊細な気遣いが「かわいさ」として沢山隠されています。だからお客様は、他のお菓子とは違う独自のブランド感を感じ取るのかもしれません。
◎ 梶原 道生(かじわら みちお)
株式会社カジグラ 代表取締役
アートディレクター/ロゴ屋
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